四角い「パッケージ」を、丸い頭で考える。岡田光生さん:岡田パッケージ株式会社


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岡田パッケージ株式会社(松阪市) 代表取締役 岡田光生さん(59歳)
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私たちは普段、いち消費者として購入商品の「中身」のほうに注目してしまいがちですが、商品が品質を保ちつつ迅速に消費者の元へ届いているのは、良い「パッケージ」があるからこそ。近年ではネットショッピングが暮らしに浸透し、梱包ごと受け取る機会が増えてきました。その包みを開き、巧妙な作りに驚くこともあるのでは? 松阪市の「岡田パッケージ株式会社」は明治から続くパッケージのプロフェッショナル。葉茶を運送・貯蔵する木箱に始まり、現在は複雑なパッケージやユニークなパッケージをトータル提案する会社へ。代表取締役の岡田社長は、時代のニーズに柔軟に対応したサービスを作り出すと同時に、社員の「やる気」を引き出すユニークな福利厚生制度を作り出しています。その内容を聞いてきました。

 

時代は変われど、変わらない梱包へのニーズ。

okada2明治22年に雑貨卸業から始まり、戦前にはお茶や海苔などを輸送・保管する木箱製造業へ。そして昭和33年にダンボール製造会社へと移り変わった岡田パッケージ株式会社。現在は段ボール・梱包資材の製造や販売をはじめ、さらにそれらを活用したトータルパッケージの要望に広く応えています。

「僕が社員に言っているのは『痒いところに手が届く、ファーストコール・カンパニーたれ』と。つまり、パッケージにまつわるお悩み解決をきっかけに、さまざまなご要望にお応えできる組織になろうじゃないかと。つい先日はある会社からご依頼があり、梱包材を使って可愛いラッピング商品をつくるお仕事をさせていただきました。梱包材にこんな可能性があったのかと実は私自身もビックリで(笑)」。

とは5代目の岡田光生社長。現社長が2歳のころに段ボール製造工場が完成、小さな頃から家業に親しんできたのだと振り返ります。

「私が大学を卒業し自社の営業マンとして働き始めた頃、ちょうど高度経済成長期〜バブル景気の時代でした。そんなある日、某有名家電メーカーさんから『この図面通りの箱を仕上げる』と依頼が来たんですよ。それが一つの大きな転機でしたね。それまでは『タテ・ヨコ・高さ』の3寸法だけ聞いて『はいよ!』と箱を仕上げていた、大らかな時代だったので(笑)。『図面が来たぞ!』『光生、やってみろ』と(笑)」。

その出来事を機に、そんなお客様の変化に合わせて、いち早く高性能データカッターの導入を決断。結果、多くの工業製品を収められる複雑な段ボール箱を手がけられるようになりました。以降も求められるニーズに合わせて次々と新しい製品を導入し、挑戦しています。
三重県は農業や漁業が盛んな地域。また関西圏や中京圏の工業地帯へのアクセスも便利な地域です。それらの立地の良さも追い風となり、農水産業や食品用段ボールと、工業製品用段ボールをバランス良く製造しています。そこからさらに発展し検査や梱包の実作業も請け負い 顧客の物流をサポートしています。

 

社員の『やる気』を引き出すユニークな試み。

okada3岡田光生さんが社長に就任したのが、今から約15年前のことです。

「長く営業職に邁進した末、45歳で社長に就任することになりました。当時はバブルが弾けた後で何をやっても上手くいかなかった頃。そんな時に叔父だった先代社長からバトンが回ってきたんです。困ったかって? いいえ、色んなことを思い切ってやれたと今では思いますね」。

岡田光生社長のチャレンジは、取引先に向けた部分も多くありますが、社員に向けたものもたくさんあります。岡田パッケージ株式会社で現在取り入れているユニークな福利厚生制度の一例を挙げると……

・誕生日は仕事から離れゆっくりできる「バースデー休日」
・勤続年数の節目に贈られる「リゾートホテル宿泊プレゼント」
・社員の子どもの出生・成長に合わせ総額51万円の「お祝い金」
・スタッフ同士でいい所を褒めあう「いいね、いいねカード」の渡し合い
・社員のつながりを深める「社内レクリエーション大会」
・社員の家族を会社に招待する「ファミリーデー」etc.

「『いいね、いいねカード』とは、社員同士がお互いを褒め合う取り組みです。例えば『他部署の◯◯さんへ。この前は笑顔いっぱいの挨拶をありがとう、元気が出ました』と書いてカードを贈り合うんです。それによって、社内が明るくなった気がします。また、出産と成長に合わせての『お祝い金』制度は、作った直後から、立て続けにおめでたいニュースが聞けましたよ(笑)」。

岡田パッケージ株式会社の従業員数は46名(2015年現在)。無機質なルールで社員を縛り業務改善するのではなく、アットホームな取り組みを増やし、やる気や団結力を高めようと社長はチャレンジしています。

 

「我が社の仕事を、ぜひ知って」

岡田パッケージ株式会社ではその一年にもっとも活躍した社員をMVP(Most Valuable Player)として表彰する制度もあるそうですが、その選考基準も「数字」ではありません。

「力を合わせて頑張ったチームや、その一年でうんと良く変化した人など、努力の具体的内容を見せてもらっています。うちが求めている人材は『何でも興味を持てる人』や『感謝できる人』。仕事を通じて、それぞれの世界が広がれば良いなぁと私は願っているので」。

また、勤務評価面談は一般的な企業の場合、社員と上司の二者面談ですが……。

「弊社の場合は私との面談もあります。全社員46名全員に対してです。結構ね、皆さん奔放にお話されますよ、会社への不満や勤務中の悩みなどを。しばしば突き上げられ私はタジタジですけど(苦笑)、社員にとっては社長に直談判できる絶好の機会。私にとっては社内事情を具体的に知ることができる貴重な機会だと思っています」。

話題性のある試みを次々と発表し実践する裏には「地方の中小企業は注目されにくい」という社長の悩みが隠されています。
「長年学生たちへの企業説明会を開いていますが、年々参加者の数が減ってきているなぁと実感します。若者の数自体が減っていますよね。それに加えて弊社が何をするところなのか、なかなか理解してもらいにくいようで。ぜひインターンシップに参加して、弊社の具体的仕事内容を体感してもらいたいと願っているのですが」。

商品を包み、頑張る社員も包み込む岡田パッケージ株式会社。風光明媚な松阪の地に根ざして頑張りたいという人を、社長は待っています。

 

スタッフの声

総務部課長 齋藤貴也さん(38歳・入社15年)
頑張りを誰かが見てくれる会社。

okada4「学生だった頃から『地元三重県で就職したい』『転勤のない会社で、町に根を張り安心して暮らしたい』と考え、岡田パッケージに経理として入社しました。現在は経理・総務・庶務全般を担っています。当時一緒に大学に通っていた同級生達とは今も時々一緒に飲むことがありますが、大企業に勤めている友人の話を聞くと、自由度が随分と違う印象です。『うちはアットホームだな』と思います。うちの場合、仕事のマニュアルはありますが、各個人が工夫し良い案を出し合いながらマニュアルを日々更新して仕事を進めています。自分の努力や工夫が仕事に反映されていき、やりがいを感じますよ。それから、うちの妻や子ども宛に社長から時折手紙が届くらしく、妻が『アンタとこ、ええ会社やな』と(笑)。社員家族と会社もアットホームな関係です」。

 

業務部第1課 北出さん(20歳・入社2年)
入社2年目の私でも一等賞に。

okada5「入社のきっかけは、私が通っていた高校に求人票が貼り出されていたことでした。先生に聞いてみると、先先代の社長がうちの卒業生だそうで。先生もよく知っておられ『老舗のいい会社だよ』と言われ就職試験を受けました。入社試験は、よくネットで見るような意地悪な感じではなく、社長が優しく質問してくださりリラックスして答えられました。その時、岡田パッケージで頑張ろうと心が決まりました。配属されたのは、お客様からダンボールの注文をいただき、自社工場に依頼をかける、その中間的役割を担う部署です。やりがいを感じるのは、厳しい納期の時も『どうにかして間に合わせたい』と皆が一丸となって努力し、無事に納品できた時。一番楽しかったのは、社内対抗ボーリング大会。私の所属チームが見事優勝して、他部署の人も含め皆でハイタッチして喜び合いました」。

2015/11現在

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