「ベストを目指し訓練を重ねる。」四日市市中消防署・消防士


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四日市市中消防署・消防士
上村 太成さん(25歳)
北川 晋太郎さん(20歳)
四日市市消防本部ホームページ

火事の時、また事故や急病人が発生した時、災害が起こった時など、緊急を要する現場に真っ先に駆けつけ対処する仕事、消防士。子供たちにとって憧れの職業でもあります。消防士さんは普段どんな仕事をしているのでしょう。またどのようにして夢を叶えたのでしょう。四日市市中消防署のU-25消防士、上村太成さん(上写真右)、北川晋太郎さん(同左)にお話を聞いてきました!


高2から受験対策してました。

−お二人は高校卒業後、消防士になったそうですね。

上村さん・北川さん「はい。四日市工業高校の出身です」

−それぞれ消防士になったキッカケを教えてください。

上村さん「小学生の時から『消防士さんってカッコイイなぁ〜』って何となく思っていました。それで中学生になった2004年、新潟県中越地震に見舞われ、救出活動をテレビで見たんです。それで自分も誰かを救う力になりたいと強く思いました。そのことを中学校の先生に相談したら『未来のために選択肢は広く持っておいた方がいい』と工業高校を勧められ、四日市工業高校に進学しました」
北川さん「僕は中学校の職場体験で、四日市市南消防署に何日間かお邪魔させていただいたんです。その時、放水や救助訓練など色々な体験をさせていただいたのがキッカケです。それで『消防士ってどうやってなるんやろ。どんな勉強したら良いんやろ』と興味を持ち、調べ始めたんです」

−消防士は倍率が高く、狭き門だと言われています。採用試験に合格するために、どんな努力をしましたか?firefighter1

北川さん「何はともあれ筆記試験に通る必要があります。それで僕は高校3年生になってすぐに公務員受験のための勉強を真剣に始めました」
上村さん「僕は高校2年生のころから公務員になるための対策を始めました。教本を買って独学で合格される方もおられますよ」

−四日市消防以外にはどこか受験しましたか?

北川さん「僕は東京消防庁・名古屋市・春日井市消防を受けました」
上村さん「僕は消防だと四日市だけを。あと自衛隊も受けました」

−それでお二人とも地元・四日市市で働くことを選ばれたんですね。消防士の仕事について具体的内容を教えてください。

北川さん「主には『出動』です。四日市市消防は市内と朝日町・川越町を管轄していまして、その地域で発生した火災・救助・救急に対して出動する、それが第一の仕事です。そのほかには、出動のための訓練、火災予防のための立入検査、それらに加えて各自治会や学校に伺って避難訓練の指導をさせていただいたり、消防署内で救命救急講習会を開催したりしています」

−講習会の指導役は、日々出動している皆さんだったんですね。びっくり!

上村さん「そうなんです。なので、講習中に出動の呼び出しがかかり『すみません』と急遽帰らせていただくこともあります。その節はご迷惑をお掛けしています」

 

朝、仕事を終えてヘトヘトに。

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−1日の流れを教えていただけますか?

上村さん「僕たちは朝8:30から24時間続けて勤務します。3つの班に分かれていて、今日1班が出勤だとすると翌日は2班、翌々日は3班という感じ。24時間仕事をしたら、次の2日は休みになります」
北川さん「出勤日、早い人は朝7:30ごろに来ます。それでこの仕事は体を動かすのが好きな方が多いですから、早く来て筋トレする人も。8:31に出動することもありますが、そうでない時は8:30から車両点検や前日の引き継ぎをします。日中は訓練や立入検査、それから出動の報告書作成をします。それに加えて若手は庁舎管理という名の署内清掃を。夕方はまた訓練をし、パソコンや資料を使っての研修があります」
上村さん「夜は、中消防署の場合4隊に分かれて順に仮眠を。早い隊は22時に布団に入りますが、やっぱり目が冴えて眠れないですね。翌朝7時になったら、再び車両を清掃・点検して引き継ぎの準備をします」
北川さん「消防士は体を動かす仕事かと思いきや結構デスクワークが多くて、僕は驚きました。パソコンで文字を打つのに日々苦労しています(笑)」

−朝、仕事から解放されるということで、その後はどうされるんですか? 遊びに行きますか?

北川さん「そうしたいところですが、仕事に慣れるまで僕は疲れ切ってまず寝てしまっていましたね。で、夜に起きてしまい寝れずヘトヘトになるという。今はできるだけ日中に予定を入れて起きているように努めています」

−なるほど。一方出動の際、お二人はどんな仕事をされるのでしょう?

上村さん「例えば火災ですと、隊長の指示のもと火に水を打つという最前線の役割ですね」
北川さん「救急車は3人体制で出動しますので脈や血圧を測定して隊長に伝えて指示を待ちます。ちなみに僕の初出動は救急で、すごく緊張して、あっという間に過ぎ、気づけば病院に着いていました(苦笑)」
上村さん「僕もそんな感じで(苦笑)、初出動は救急です。ちなみに四日市市における昨年(平成26年)の出動件数は約1万4,000件です」

−1万4,000件?! ということは単純計算で市内で1日約38回も出動しているのですね。それは大変ですね。

北川さん「とは言え、『ありがとう』という言葉をいただいた時は、本当にこの仕事をして良かったなと思います」

 

母は心配していますが……。

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−『今日はいい仕事をした!』と手応えを感じる日もありますか?

上村さん「それはあまりないですね。なぜなら、今日の仕事がベストと言えるか分からないからです。もっと善処できたのかもしれない、と思い巡らせることばかりです」

−お二人とも実家暮らしということで、ご家族は消防士という仕事について何かおっしゃっていますか?

北川さん「消防士、公務員という仕事を理解してくれているようです。とは言え母は心配なようで『あんまり無理をしたらアカンよ』とも時折言っています」
上村さん「僕は、うーん、どうでしょう。特に何も。『コイツは何言っても聞かん』ということが、どうやら母もよく分かっているらしく……(笑)」

−なるほど。ではこれからの目標について教えてください。

北川さん「四日市市中消防署には震災や大事故に対応する『高度救助隊』が配備されています。僕も高度救助隊として活動できるよう頑張ると同時に、もう一つの特殊隊『水難救助隊』になるための勉強もしたいと思っています。実は全然泳げないのですが……(苦笑)」
上村さん「僕もまた高度救助隊を目指して努力したいと思っています。それから水難救助隊員になるための研修に今年行くことが決まりましたので、そちらも頑張ります」


日本有数の巨大コンビナートを擁する四日市市。平成27年3月には日本で初めて四日市市にコンビナート災害に即応する部隊「ドラゴンハイパー・コマンドユニット」が配備されました。また、国外からの厳しい救助要請にも応えられる「国際消防救助隊員」が所属しているのも、三重県内では四日市市のみだそう。あらゆる事故や災害に対応できるスペシャリストが所属している四日市消防で、U-25の二人も頑張っています(ある日は昼食が夕方になったり、またある日は消火ホースを抱え、ぬかるんだ田んぼの中を走り抜けたりしながら……)。

動画でメッセージ

「ぜひ一度見学へ」。詳しくは四日市市中消防署へ問い合わせを。

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