「ド素人の僕が、介護ベンチャー経営者に!」株式会社PlanB


hamanaka
株式会社PlanB(四日市市)
創業者 浜中俊哉さん(38歳)
訪問看護ステーションしらゆりケア公式サイト

 地域課題を解決するビジネスを支援する「みえ地域コミュニティ応援ファンド」の平成26年度助成事業に決定した上、優れたビジネスプランに対して事業化を支援する「みえぎんビジネスプランコンテスト2014」で準グランプリを受賞。数々の受賞や支援を受けて、利用者が使いやすい訪問看護&介護を提供する施設『しらゆりケア』が2015年5月にオープンしました。
そのビジネスプランの作成者であり、『しらゆりケア』の運営会社(株)PlanBの代表取締役を務めている浜中さんは、実は介護職の経験がないところから始めたそう。「介護のド素人の僕が、介護事業の経営者になっちゃったんですよ」と笑い職場を盛り上げながらも、眼差しは真剣。「介護のワンストップサービス」を実現しようと奮闘しています。事業を立ち上げる難しさ、面白さや、今後の意気込みを浜中さんに聞いてきました。

 

きっかけは親族の介護で感じた「なぜ?」。

sirayuri2 浜中社長は長く東京で証券マンとして勤めてきた経歴の持ち主。数年前に実家の製造業経営に携わった後、経営コンサルタントとして企業に就職しようとした直前、「やっぱり起業!」と決断したと言います。

「昔の先輩に『お前はサラリーマンになるべきではない』ってアドバイスを貰ったんです。その言葉に奮い立ちました。介護職に賭けたいと思ったのは、自分が訪問介護の利用者で、よく不便を感じていたから」。

浜中社長のお義母さんは、入浴・生活援助・看護などのサービスを利用していたのだそう。それには利用者家族がケアマネージャーを通じて何百もの業者からサービスを選ばねばならず、結果さまざまな業者が家に出入りすることになりました。

「『義母は耳が聞こえない』そんな情報一つさえ共有するのが難しかったんです。業者が違うのだから、申し送りが上手くいかないのは仕方のないこと。けれど、それによって不便な思いをするのは利用者です。『もしも、あらゆるサービスを一括で受けてくれる会社があったらどうだろう?』と思いました。それで『こんな会社があったらいいな』と介護・看護のワンストップサービスのビジネスプランを作ったのが会社設立の原点です」。

『しらゆりケア』は、「介護」と「看護」の壁を超え、在宅介護に関わるあらゆる不安解消に努める訪問看護ステーションです。看護師6名と准看護師1名が在籍し、健康観察から入浴・排泄のお世話、経管栄養などの医療治療まで(医師の指示のもと)幅広く対応できます。

「2016年の2 月には居宅介護支援事業所も併設させる予定です。具体的には『しらゆりケア』にケアマネージャーが在籍することになり、利用者様のケアプランを作成できるなど、一層広い範囲で介護のお手伝いができる体制が整います」。

介護保険や医療保険、さまざまな地域の取り組みなど、数年間に渡って「利用者として」勉強し続けた浜中社長。利用者の気持ちが分かるからこそ、次の展開がひらめくのかもしれません。

 

「やめた方がいい」の声に挫けない。

「みえ地域コミュニティ応援ファンド」の助成や「みえぎんビジネスプランコンテスト」の準グランプリなどに輝き、2014年11月に訪問看護ステーションを立ち上げた浜中社長ですが、当初は資金集めに苦労したと振り返ります。

「お話した通り僕は全くの異業種出身で、介護は全くの未経験者ですから、世間の目はもちろん厳しいものですよね。融資の相談に行っても『経験がないのに。やめときなさい』と追い返されていました。『介護サービス事業者が多く倒産していることを知っていますか?』と」。

sirayuri3 2015年4月に介護報酬が引き下げられ、介護サービス事業者の倒産が過去最悪の勢いで増えたというニュースが現在多くの関心を集めています。それでも浜中さんは成功に向けて前に進むことをやめませんでした。

「今になって当時を考えると、僕がどれだけ本気か見ていたのだと思います。何度も通い、僕のビジネスプランが多方面で評価をいただくにつれ、少しずつ理解していただけるようになりました」。

スタッフ集めも同じように、一人の友人を頼り、熱心に語り続けることで、理解を得られたと語ります。

「看護師をやっている友人がたった一人だけいて、その子を必死になってスカウトしたんです(笑)。やがて在宅看護の重要性を理解してくれ、同じく看護師をしているその子のお母さんに伝わり、さらにそのお仲間に話が広がってくれたんです。経験豊富で志の高い看護師さんが集まってくれました」。

 

アイデアをどんどん実現させていく。

sirayuri4「かくして僕は開業できたのですが、結果的に組織図は普通の会社と全く逆になってしまいました。つまり、社長の僕が未経験者で、スタッフの看護師さん方がキャリア20年超えの大ベテラン勢。頼りになります(笑)。僕にできることは、スタッフが安心して長く働けるよう環境を整え、お金を集めてくること」。

スタッフの妊娠をキッカケに、浜中社長は現在、看護師向けの託児所開設に向けて動き出しているほか、新しい試みを次々と実践しているそう。

「訪問看護ステーションとして町の人々に何かできないか考えた末、民生委員さんにスタッフが同行させていただき、見守り応援させていただく予定です。それから年に2回の一般開放イベント『しらゆりサロン』。前回は事務所の前でお団子を焼きました! 自分からムーブメントを起こすことが大切なんじゃないかなと思って」。

企画、労務、財務、事務、営業と、何役もこなしている浜中社長は「大変だ」と笑いながらも、充実していると話していたのが印象的でした。

「真っ白なキャンバスに描いた絵がそのまま形になり評価されるのが最高に楽しいです。人が作った流れに乗ると、失敗した時、人のせいにしてしまいがちですよね? だったら自分で流れを作ればいいんじゃないでしょうか」。

起業の大変さとそれを上回る面白さを、こんな言葉で語って下さいました。

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