「現場に根ざせば進むべき方向が見えるんです」豊田悦子さん:社会福祉法人 朋友

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社会福祉法人 朋友 公式サイト
ステップアップカフェ『Cotti菜』公式サイト

自動車部品製造会社のパート事務員さんが15年前、思いがけずして障害者支援事業の設立に携わり、施設長に。
現在は、自動車部品を製造する障害者就労支援事業『アクティブ鈴鹿』、身体障害者福祉ホーム『アクティブ』、水耕栽培で野菜を生産する『わか菜の杜』、ステップアップカフェ『Cotti菜』という、全く異なる4つの障害者支援施設の総責任者となり、障害を持つ人々と一緒に働く豊田さん。
最近では『わか菜の杜』でつくった野菜が、JALのビジネスクラス機内食に採用されました(2016年3月〜)。また、カフェ『Cotti菜』をきっかけに、三重県発の手作りブランド『M.I.E』も誕生しました。「障害を持つ方との繋がりは、今まで全くなく。それどころか社会人経験もありませんでした」という豊田さんにお話を聞いてきました。

 

勤め先の社長がある日、障害者に。

DSC_0972「私、自分の子どもが小学校に上がるまで、社会人経験ゼロだったんですよ。高校卒業後、花嫁修行を経てすぐに結婚。それから20歳で出産。2人の子を育て、『株式会社レグルス』という自動車部品のメーカーに知人の紹介でパート事務として採用してもらいました。そしたらある日、勤め先の社長が屋根から転落して車椅子生活になったんです。社長自身、障害者になって分かったことが色々あったようで『障害を持つ人も働ける場所を作ろう』と言われ、私が開業のための担当者になった。それが全ての始まりです」

「それまでたまたま私の周りに、障害を持っている方が知人にも親戚にもおらず、社長を通して『へー、足を触ってもどうしても、全然痛くないんや』など知りました」

すべてが初めてのことだらけだった豊田さんがまず取り掛かったのは、社会福祉法人の設立、そして自動車部品を製造する『就労継続支援A型事業所 アクティブ鈴鹿』開業のための実働。運営を始めるには県から事業者指定を受ける必要があり、法律を理解し人員や設備を充実させなければなりません。専門家にサポートをお願いする方法もありますが、豊田さんは一人で申請にこぎつけたそうです。

「社会福祉法人を設立するために勉強する本って、もう辞書みたいに分厚いんですよ。全部読み切るなんて、私にはムリ! それなら聞きに行くのが早いと三重県庁に通いました。当時の担当さんにはもうお世話になりっぱなしで」
「色々と法律の話や、その目的などから教えて下さるんですけど、それも全て理解するのが難しく……『私はこうしたい! どうしたらええんですか!』と懇願して(笑)、情報を順に教えてもらう感じでしたね」

法人設立後は、また事務職に戻るつもりだったと振り返ります。しかし適任が現れず、引き続き施設の運営に携わることに。事務仕事をこなしながら1年かけて勉強や実習を重ね、施設長の資格を取得したのだそうです。

「その頃、下の子はもう中学生になっていましたから、安心して仕事に励めました。そんな私を見て大きくなったのか、子ども達は自分自身で進路を決めました。私が家庭に居なくて寂しい思いをしているのは、むしろ夫だったようで(笑)」

 

5年ごとにアイデアが湧いてきて。

『社会福祉法人 朋友』が運営する事業は、工業製品づくりから野菜栽培まで幅広く、一見すると全く異なる事業のように見えますが、実は繋がっていました。一つ一つの施設の開業は、それぞれ5年ずつ時間があいており、豊田さんが必要と感じる度に、新しい展開を社長に提案しているのだそうです。

「野菜を育てる『わか菜の杜』を始めたのは、リーマンショックがきっかけでした。工業品製造業の先行きを考えるようになって、別の何かを始める必要があると。ちょうど畑を持っていたのですが、雨が降ると仕事にならず、それでは人は雇用できない。そこで全天候型のハウスで水耕栽培を始めたいと思ったんです。水耕栽培は言わば植物工場。生産計画を立て、手順を整え、人員を配置し、管理する。意外と思われるかもしれませんが、部品工場のノウハウを活かせるんですよ」

「『わか菜の杜』を開設する際、隣に作業所を建てました。その時、今後カフェ営業もするつもりでいたんです。するとその頃ちょうど三重県が障害者雇用の推進に向けて、カフェ営業を運営する事業者を募集していると知り、これはということで名乗りを上げさせていただきました。それでご縁あり、運営事業者の指定をいただいたんです」

『わか菜の杜』で採れた野菜はステップアップカフェ『Cotti菜』で購入できます。また、『Cotti菜』の店内では、その野菜を使ったサラダバーや特製スムージーなどを楽しむことができます。

 

共に働き共にステップアップする。

DSC_0997「この前、県からアンケートが来て、勤労者の就労年数を調べる機会がありました。すると一番古い施設、部品製造の『アクティブ鈴鹿』では4分の3のスタッフさんが勤続十年以上でした。それには私もビックリ」

障害を持つ人に長く勤めてもらうために、何か特別な工夫をしているのですか? 秘策があるのですか? という質問の答えが印象的でした。

「ないですね。一緒に働く、障害の内容を理解する。ただそれだけです。健常者も色んな性格を持っているでしょう? そこに手足が不自由とか、曖昧な指示を理解しにくいなどといった個々の障害が一つ加わっていると思っています。指示通りできたらその都度『よく出来たね』と認めて、できなかったら原因を一緒に考えながら手順を見直す。現に『Cotti菜』スタッフの皆さんは、出来る事がどんどん増えてステップアップされていますよ。普通の会社と何ら変わらないです」

『Cotti菜』の運営は補助等を受けず、2015年12月でオープン1周年を迎えました。2016年には『Cotti菜 Deli』というお弁当店を鈴鹿市にオープンさせる予定だそうで、そうなると豊田さんはまた一つ責任を担うことになります。

「何か頼まれごとをされた時、『イヤって言ったらアカン』って亡き母がよく言っていました。『どうせやる事になるんやから、それなら気持ち良くやった方がええ』と。その言葉の影響を受けているのかもしれません。それに今、楽しいんだと思います。だから続いているんだと」

カフェ『Cotti菜』に置いていた障害者の手作り織物を『東急ハンズ』の担当者が見て感心したことをキッカケに始まった、新たな三重ブランド『M.I.E』も動きだしたばかり。豊田さんがいる『Cotti菜』から今後も楽しい何かが始まり、広がっていきそうです。

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