三重で働くのが嫌なら一回出て行ったらエエ!万協製薬株式会社



万協製薬株式会社 代表取締役社長 松浦信男さん(50歳)
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松浦信男公式facebook

女性の大活躍推進三重県会議 会員企業

 「ただし俺たちは圧倒的な価値を放つ存在として、この三重に存在する!」(by松浦社長=写真)。社員128名の三重人が力を合わせ、およそ22億円の売上をたたき出す(2015年現在)驚異の製薬会社。女性の育休取得率は100%、課長以上の女性幹部40%、育メン推進の休暇取得制度など、女性が働きやすい環境を整え、これまで多くの賞に輝いています。また2015年10月には町役場・相可高校・万協製薬とが連携して、高校性が企画・提案する地域資源を生かした化粧品「まごころ」シリーズが「日本ものづくり大賞青・少年支援部門」を受賞。


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そのほか、ズラリと並ぶマンガが読み放題の社員食堂、社員同士の合コン費用は会社が補助、などユニークな試みも。それらはすべて“社員に必要とされたい!”“地域・社会に必要とされたい!”という松浦社長の渇望が根底にあります。なぜなら1995年の阪神・淡路大震災で、万協製薬は全社員に一度見放されたから。「当時32歳でグレて、以来グレっぱなし」という社長が三重に創った会社は、全国から熱い注目を集めています。

 

今度はクラブ活動のように楽しい会社に!

DSC_0863 万協製薬は、神戸で創業した外用薬(クリーム剤、軟膏剤、液剤)メーカー。会社概要下の画像を見ると、ドラッグストアでよく見かける製品も多いはず。大手企業の名前で発売されているこれら商品の中身を、企画・開発し、製造しているのが実は万協製薬。阪神・淡路大震災の翌年に三重県で再創業し、当時の売上と比較すると現在は約60倍に成長しています。
取材に訪れたこの日は、包装ルームを見学させてもらいました。機械から淡々と吐き出される製品を慎重かつ丁寧に取り扱う担当部署の皆さんがおり、壁にはスローガンが。『野生を取り戻せ!-BACK TO THE BEAST!-』。“会社の決定に黙って従え”の真逆をいく方針。社員の皆さんの多種多様な意見や想いはいつも社内掲示板に公開され、またweb上で公開されているものもあります。個々の想いを尊重する理由を松浦社長はこう振り返ります。

「震災で会社が全壊した当時、会社を立て直したいと言ったのは僕だけでした。それが結構ショックで」(TV番組『カンブリア宮殿』で紹介 )。
「震災前までの僕は、今月の売上がどうとか、そんなことばかり考えていました」。
「だから罪滅ぼし。当時と真逆の会社を一から作り直そう、大学のクラブ活動みたいに楽しい会社をつくって、こんな会社ありえないだろうということをやり続ける」。
「震災をフックにして自分の生き方を変えることにしたわけです」。
「土地が安くて、いい建物がちょうど見つかって、行政が歓迎してくれた三重県で」。

名だたる取引先メーカーと渡り合っているのは、ほぼ地元で採用したスタッフたち。はじめはパート主婦を、それから社員を採用しました。再創業にあたってその道のプロを敢えて入れなかったのには理由があります。

「これは地震でプライドを失った経営者と、生まれてから一度もプライドを持ったことのない地元社員とが、本当のプライドを見つけるまでの物語。リアル『がんばれ!ベアーズ』(映画)ですよ。だから、過程こそ楽しむべきであったんです。僕たちのチームにいきなりプロが来て『お前達こんなバカなことをやってんのか。全部やり直し!』なんて言い出したら、なんかしょげちゃうじゃないですか。そんなことを社内から言わせないために、新生万協製薬にプロは入れてませんし、営業部すら作りませんでした」。

 

麦わらルフィは仲間を試験で選別したか?

DSC_0827 松浦社長は、熟練から新入社員、パートタイマーまで、まず任せてみる・やらせてみる(=権限委譲)、という方法を再創業以来貫いています。子育てを経験したママさんなら、やらせてみる難しさや心配な気持ちが、きっとよ〜く理解できるはず。権限委譲に不安はないのですか?とたずねると、こんな答えが返ってきました。
「よく、◯万円以上の決済は社長がせなアカン、みたいな会社ありますよね。あれなんで社長がハンコ押さなアカンの? ハンコ押すだけやんか」。
「いいじゃん、(許可制ではなく)実地試験で。マンガ『ワンピース』の主人公・海賊ルフィが『このゴーイングメリー号に乗るためには、資格試験が45項目あります』なんて言いますか? グランドラインを目指すっていう僕の夢を一緒に共有してくれる仲間なんだから、仲間を測るなんておかしい」。
「会社と社員の理想の関係は、お互いがお互いを最大限に利用した時に起こると思っています。会社は社員を使って会社を成長させたいと思うし、社員は会社の財産を使って自分のやりたいことをやる。あと付け加えて言うなら、上手くいってる恋人同士も然り……、お互いがお互いを最大限利用しているだって! プププ」。
上が決め下に従わせる組織ではなく、フラットな関係で何でも言い合える組織づくりに力を注ぐ万協製薬。結果、数々の表彰に結びつくような労働の仕組みづくりが、社員主動で実現しています。

 

多くの経営者に松浦エンジンを積みたい!

DSC_0853 2015年10月には、地元・相可高校と共同開発した商品『まごころシリーズ』が第6回日本ものづくり大賞経済産業大臣賞を受賞するなど、今ではすっかり三重に根ざす万協製薬。その一方で松浦社長は三重から飛び出そうとする若者の心も理解します。
「都会に憧れる若者の気持ちは世界共通なんじゃない? 行きたきゃ一回行ってこいよ!」
「僕は三重に万協製薬という良い会社があるっていうことを発信する」。
「自分のブランドを作れば、どこに居てもそこで生きていけるはずなんでね」。

松浦社長は近年、三重から日本の会社&社長を変えたいと動き出しています。
「会社を経営することは自立した生き方として、全社長に尊敬申し上げます。しかし人を道具のように使っている経営者を見る時、僕はすごく残念な気持ちになる」。
「会社組織のピラミッドヒエラルキー(階層的構造)は間違ってるって証明したいんですよ。フラットでインフォーマル(形式ばらない)組織こそが未来系なんです。理念を共有して、『君の判断で会社を利用して自分自身を成長させろ』とそれぞれの従業員にエンパワーメント(権限委譲)する。いいこと言ってるでしょ? でもこれ全部21世紀の経営トレンドから外れてるんです」。
「僕の考えは新しいかもしれないけど、でも急成長してる」。
「一人でも多くの経営者に松浦信男・思考エンジンを入れたい」。

新しい流行や文化は、東京から地方都市を経て三重にやって来ることがほとんど。しかし全てがそうとも限りません。三重で再生した『大学のクラブ活動みたいな会社』の考え方や方法が、いま三重から全国へ広がっていこうとしています。

 

スタッフの声

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ママ社員の声から始まった
社員が主役の育児支援制度

「うちの社長、思いついた事を何でも始めちゃうんですよ! 趣味が高じて会社の中にアニメヒーローのフィギュア博物館を作っちゃうくらい!」

とは、万協製薬社員の服部さん(写真右)と木村さん(写真左)。二人は社内の『ワークライフバランス推進委員会』の委員長・副委員長、として仕事と生活の調和実現に向けてさまざまなアイデアを練り、実現させています。木村さんは小5と1歳の子を持つパパ、服部さんは7歳と4歳の子を持つママです。

 

働くママの願いを社内で共有。

服部さん「元々は私が、社内面談の時に『社内のママ同士でもっと話したい! 地域のお役立ち情報や子育ての悩みを誰かと共有したい!』と提案したのがキッカケです。ウチの社長は『思いついた事はやってみよう!』と何でも始めちゃうフットワークの軽い人なので(笑)、その後すぐ社内ママ会が発足されました」。
木村さん「それからパパ会も結成する事になりまして『家庭の時間を大切にしたいのは男女共有の願いだよね』ということでパパママ会を一つにまとめた『ワークライフバランス推進委員会』に。社長も3人の子を持つ父親で、同社で働いていた奥さんは子育てに苦労されたそうです。それを隣で見て胸を痛めていた社長の思いを反映させた形でもあります」。

 

制度改正でパパも育休を取りやすく。

 委員会のミーティングは、就業時間中に通常業務を中抜けして開催しているそう。これは『ジョブローテーション制度』を設け、日頃から個人の業務を部署全体で共有化している同社ならでは。社内で疑似家族『プチファミリー』をつくりレクリエーションやグループ旅行で力を合わせるなど、社員同士の交流機会も多く、お互いの事情を理解し合える土壌があります。
木村さん「今年は、男性の育休取得を促す活動をしました。それまでは女性と同じ1年間の育休取得が可能でしたが、男性社員には今ひとつ歓迎されていなかったようで、取得率がうんと低かったんです。僕に置き換えて考えても、1年も休むのはハードルが高いんですよね。新しい育休制度は『3歳未満の子がいる父母は、育児休業はじめの5日間を特別有給休暇として取得できる』。それによって『まずは5日間だけでも育休を取ってみよう』という選択が可能になったんです。これで随分とハードルが下がりました。僕も5日間の休暇で、育児らしいことをしたいと思っています」。
パパが5日間の休暇を取って家に居てくれたら……、ママ一人で息抜きティータイム、美容院etc、色々なリフレッシュができそう。家族みんなで旅行などに出かけ、パパママお互いが日頃の疲れをリセットさせることもできそうです。

 

情報を残し、未来のパパママにも優しく。

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服部さん「もう一つ進めているのが、病児保育施設の情報共有。『子供が突然熱を出しちゃった!困った!』っていう私個人の経験を話すと、他のママ社員も『わかる〜』と理解してくれるんですよね。そんな風に『困った!』の内容と解決案をここで示し残しておけば、将来ママになる社員にも、きっと役立つと思うんです」。

内閣府による平成26年度『子どもと家族・若者応援団表彰』にて最高賞・内閣総理大臣表彰の栄誉に輝いた万協製薬。これからも現場から飛び出すさまざまなアイデアを積極的に取り入れることで、誰もが幸せに働ける会社の仕組みづくりが推し進められそうです。

 

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2015/11現在

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