「職人は何歳になっても、何年経っても見習い。終わりがない。工夫をしながら、自分なりに答えを見つけていく。仕事もそうやけど、いろんなことをさせてもらって、これでこそ石川淳二という円にしていく。」石川淳二さん:有限会社 石川畳店

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有限会社石川畳店公式サイト≫

三重県四日市市にある「有限会社 石川畳店」は、大正元年創業の老舗畳店です。105年目を迎える老舗でありつつも、革新的な取り組みを続ける4代目店主、石川淳二さんに、今に至るまでのお話をお聞きしました。

いただいた名刺には「本業は“畳”職人です」と書かれていますが、二つ折りの中身を開いてびっくり。「やりたいこと全部やります!どんどんお声がけください!」の言葉とともにセミナー講師、ラジオパーソナリティ、日本語サークル代表、世界最高峰のトレイルランニングレース完走、狩猟免許保持、ようちえん理事、小学校のPTA会長、といった様々な経歴が並びます。

 

畳とともに育ち、27歳で4代目として畳職人に

石川畳店は、石川淳二さんの曾祖父にあたる石川久太郎さんが四日市市十建町(現在の北町)にて、大正元年に創業。子どもの頃から、祖父、父が畳を作っている傍らで育ったそうです。その後、大学進学のため四日市を離れ、卒業後はアメリカ、インドと日本を行ったり来たり。冬は山に住み込み、スノーボードで天下を目指すなど、世の中は自分の興味にあふれていることに気づいたそうです。しかし、そろそろ落ち着こうかなと、15歳からお付き合いしていた奥様と27歳で結婚、四日市に戻って、古くから働いてくれている職人さんについて、畳職人の道に入りました。

しかし、そんな中で始めた仕事は面白くありませんでした。製造業の職人として、黙々とやっていく仕事に違和感を覚えます。「何か違うな」から「何もかも違う」に気づくのにそう長くはかかりませんでした。本当に畳職人をやりたいか、一生やっていきたいかを突き詰めた結果、答えは「No」でした。

 

土下座して世界一周新婚旅行へ

その答えを持ったままに、30歳で新婚旅行と称して、世界一周に行くことを決意します。社長である父には直前まで黙秘し、出発の2日前に「畳屋を辞めます。もう二度と目の前に現れません。」と宣言。帰る場所はない覚悟で、出発しました。

「最高だった」と語る世界一周新婚旅行、その間、「朝から晩まで片時も離れずに夫婦いっしょだった。他の夫婦の一生分くらい一緒にいました。その土台がある中で、今、仕事や子育てを一緒にできる。これは代えがたい経験だった。」と振り返ります。

そして、各国をめぐる中で逆に日本文化や畳への思いが見直されてきました。「今度は違う角度で、畳屋ができるのではないか」との気持ちを抱き、約2年間、27カ国を訪れた後に、帰国の日を迎えます。そして、「帰国2日後には作業場に行って、しれっと仕事をしていました。近所の人から、息子さん戻ってきたんだね。仕事しているんだねと噂になったりして、父との和解に持ち込むことに…。」と、あくまで自然体です。

 

びっくりするほど大変身、別の人間に生まれ変わった

しかし、「そのときの経営状態は最悪だった」とも。世間の住宅事情が変わり、二間続きの和室、二階にも和室の部屋があった時代とは異なり、新築の家に和室を設けること自体が少なくなってきていました。業界全体で畳の取り扱い規模がどんどん縮小してきていました。

ですが、考え方によっては、建築部材としての畳から、日本文化の代表としての畳へと、畳の価値観が変わってきたことも感じていました。石川さんは「快適度への注目がアップし、子育て世代からは畳のよさが見直されてきた」とおっしゃいます。「うまいこと引き上げれば、それがビジネスにつながる」とニーズの変化を汲み取れるようになっていました。

各国を放浪した経験が生き、畳を具体的にこういう風にしたら使ってもらえるという、イメージが提案できるようになってきて、仕事も楽しくなってきたそうです。

自分の経験を振り返ってみて「今30歳くらいの人を見ても、変身できるやろうなと。もっともっといろんなことをやってからでも間に合う、大きく羽ばたける人材がいる」と語ります。

 

「できることならなんでもしてあげたい」親心に寄り添える喜び

そんな中で、第一子の長男が誕生します。ですが、生まれて間もなく、重度のアトピーであることが発覚。アトピーでの入院も経験します。その後、衣食住のすべてにアレル源を疑い、悩む日々が始まりました。

そして、直接肌に触れる畳の安全性を突き詰めた結果、イグサ産地の熊本で無農薬によるイグサ栽培農家さんに出会います。大変な苦労と大きなリスクを背負いながら栽培している農家さんと意気投合。無農薬の畳表を貼っただけではなく、土台からすべて農薬を使用しない、接着剤などの化学物質も使用しないと、こだわりぬいた「無農薬畳」の商品化にこぎつけました。これは、メディアでも取り上げられ、全国の同じ悩みを持つ人からの注文につながっています。

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子どもができて、「できることならなんでもしてあげたい」という親心が汲み取れる仕事ができること、「日本で一番安全な畳」という安心感を提供できることが誇りにつながったと言います。

 

職人の醍醐味は生涯見習いであること。工夫の余地があること。

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職人の醍醐味は何ですか?との質問に、「何歳になっても、何年経っても見習い。工夫をしながら、ええこと、新しいことを自分なりに見つける。自分のやり方で物を作っていく。針の刺し方、その角度一つで精度ややりやすさが変わっていく世界が職人の面白さ。」と答えます。


ishikawa_img04また、石川さんは自らを発明家とも評します。四日市のゆるキャラ、「こにゅうどうくん」の畳縁を作り、全国ゆるキャラ縁の会長も務めています。また、実際の畳をミニチュアサイズにした豆畳キットも製造し、講習会も行っています。この豆畳のワークショップは大盛況で、子供たち、その親、地域へとビジネスの場が広がるとともに、地域おこし、人と人のつながり、日本文化の継承と、「一石二鳥どころか、三鳥、四鳥くらい」と笑顔で語ります。

 

 

人と人が向き合うことを大切にしていけば、楽しいことしか残らない

楽しい仕事ばかりではないのでは?との問いにも、「イヤな仕事とは時間に追われる仕事か、金額が折り合わない仕事のこと。そのどちらも工夫して、回避することができる。無理なものは無理と言える関係を構築することが大切。」と、さらりと答えてくれました。

例えば、工務店経由の仕事であった場合、施主さんがどのようなことを求めているかまで考えて仕事をする。色々なことを知りたいタイプの施主さんであれば説明するし、納期重視であれば、急ぐことがどのような結果になるか、コストを抑えるためにはどのような製品になるかをちゃんと説明する。また、自分が実感してきたことだから、畳のありがたさを心から伝えられる。そうして、人と人と真摯に向き合っていくとイヤな仕事というのはないと語ります。

もちろん、そのポジションを確立するためのブランディングも重要と考え、店構えとか折りこみチラシなどもこだわります。そのような日々の工夫を繰り返した結果、全国からのオファーを受けて、売上UPセミナーの講師も肩書に加わりました。

 

これでこそ石川淳二という形に、円にしていきたい

最近では、初の海外進出も果たしました。四日市で行っていた、在留外国人向けにボランティアで日本語を教えるサークルが縁で、バリの人気カフェからの畳の注文を受けたのです。現地で畳を施工、納品しましたが、日本と比べて湿気の多い風土の問題を一番に考えて、アレンジしたと言います。言語の問題でなく、相手の言いたいことを理解する、その心を汲む仕事が、海外での評価にもつながっています。
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地元の方から声をかけられ、「あんた、これからどうしてきたいんか?」と聞かれると言います。

「仕事ももちろんそうやけど、いろんなことをやりたい。一つ一つを大事にして、これでこそ石川淳二という形に、円にしてきたい。感謝の気持ち、人と人とのつながりを大切にしたい。今が一番楽しい。向き合えば、ちゃんとやれば通じる。」と熱く語ります。

2人の息子さんにもそんな父の仕事が楽しくて仕方なく映るとのこと、将来は畳屋を継ぎたいと言っているそうで、石川畳店の新たなる「発明」と、ますますの発展に目が離せません。

by  みえハピ!ライター M

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